知的障がい

知的障がい者(児)の状況

●在宅・施設入所人数
在宅 総数 41万9千人(平成17年11月現在)
施設入所 総数 12万8千人(平成16年10月現在
●年代別の状況
18歳未満(知的障がい児) 12万5千人
18歳以上(知的障がい児) 41万人
年齢不明 1万2千人
 
●障がいの程度
最重度 62,400人(14.9%)
重度 102,200人(24.4%)
中度 106,700人(25.5%)
経度 97,500人(23.3%)
不詳 50,100人(12.0%)

知的障がい者(児)の男女比

男性 56.0%
女性 39.8%
不詳 4.2%
 

知的障がい者(児)とは何か

知的障がいとは一つの病気ではありません。様々な原因により生じた知能発達の遅れと、その結果としての社会適応の障害を主症状とする、一種のの状態をいいます。18歳未満の発達期に現れ、知能指数(IQ)がおおむね70未満で、年齢に比べて社会生活能力が低い。
また、知的障がい者として判定を受けている場合、都道府県知事発行の「療育手帳」を所持しています。

ダウン症や自閉症と知的障がいとの関係

ダウン症や自閉症それ自体が知的障がいなのではなく、正しくは「知的障がいを伴ったダウン症」「知的障がいを伴った自閉症」となります。
最近は、知的障がいのない「高機能自閉症」という言葉もよく聞かれるようになりました。
① ダウン症について
 1886年に、英国のダウンという名の医師によって発見された障がい。
 人間の細胞には、23対、計46本の染色体があるが、ダウン症の場合、染色体異常があり、21番目の染色体が多くなっています。
② 自閉症について
 対人関係の発達の偏り、コミュニケーション能力、特に言語能力の発達の偏り、反復的な行動や強いこだわりを伴う想像力の発達の偏り、中枢神経系に関わる生得的な障がい等がみられます。

発達障がいと知的障がいとの関係

注意欠陥・多動性障がい(AD/HD)、学習障がい(LD)、高機能自閉症・アスペルガー症候群の様々な発達障がいは知的障がいではありません。よって、療育手帳は交付されません。
 発達障がいの特徴は以下の通りです。
  ・マニュアルが読めない
  ・メモが取れない
  ・報告書が書けない
  ・やることを忘れてしまう。
  ・失敗の理由がわからない。
  ・常に不安がつきまとう。
  ・相手への伝え方がわからない。
 
注意欠陥・多動性障害(AD/HD)
 年齢あるいは発達に不釣り合いな注意力、及び衝動性、多様性を特徴とする行動の障がいで、社会的な活動や学業の機能に支障をきたすもの。
 また7歳以前に現れ、その状態が継続し、中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると指定されます。
 
高機能自閉症・アスペルガー症候群
 高機能自閉症とは、3歳くらいまでに現れ、①他人との社会的関係の形成の困難さ、②言葉の発達の遅れ、③興味や関心が狭く特定のものにこだわることを特徴とする行動の障がいである自閉症のうち、知的発達の遅れを伴わないものをいいます。
 また、中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定されます。
 アスペルガー症候群とは、知的発達の遅れを伴わず、かつ、自閉症の特徴のうち言葉の発達の遅れを伴わないものである。
 
学習障がい(LD)
 基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を指します。その原因として、中枢神経に何らかの機能障害があると推定されますが、視覚障がい、知的障がい、情緒障がいなどの障がいや環境的な要因が直接の原因となるものではありません。

感覚と運動の発達

運動や感覚面でも遅れやひずみが存在し、発達は単位に知恵のみではなく、全体として低い段階に留まっています。手先が不器用であったり、痛そうな体験をしても鈍かったりすることがあります。

知的障がいの方との接し方

① 言葉かけの仕方
 ・「~しないで」「~したらいけません」という否定文ではなく、「~してちょうだい」「~しなさい」という肯定文をできるだけ多く使うことを心がけます。
 ・「~しないで」という音の組み合わせが行動を抑制する働きを持たず、かえって行動を触発する引き金として働く場合が多いです。
 
② かかわり方
 ・短くはっきりと話す
 ・表情や身振りなどその人なりのサインがある。よく見て対応する。
 ・好きなことを一緒にして、まず仲良くなることから始める。
 ・言葉のほかに、身振りや実物、写真、絵、文字などでわかる人もいる。
 
③ 行動に問題がある場合
 ・近づくと逃げられたり、さらわれると振り払ったりする。
 → 追いかけすぎないようにして目を離さない。
 ・物を投げたり、自分や友達をたたいたりする。
 → きっぱりとした態度で止めて、他の遊びやできそうなことに誘ってみる。

発達障がい者(児)の理解

○長所
 ・個性はそれぞれだが、その子ごとに活用できる能力がある。
 ・適切な配慮の元では、充分に就労し社会的な自立を成し遂げられる。
○困ったときの対処方法
 ・子供の個性・障害を理解する。
 ・子供の苦手な刺激や状況を避け、分かりやすい環境を作る。
 ・問題が起きた場合、状況を原因から順序だてて把握し、迅速に対応する。
 ・パニックが起きた場合、まず興奮を下げ、落ち着かせる。その後、本人とどうすれば落ち着くのか話し合う。

発達障がい者支援法

概要
 ① 発達障がいの早期発見や、乳幼児期から成人期に至るまでの支援は国や自治体の責務である。
 ② 乳幼児健診や就学時健康診断での早期発見に努める。
 ③ 保育、教育、就労、地域生活の各分野において、支援体制を整備してゆく。
  具体的には、都道府県知事あるいは。社会福祉法人による発達障がい者支援センター等が、
  一 発達障がいの早期発見、早期の発達支援等に資するよう、発達障がい者及びその家族に対し、専門的に、その相談に応じ又は助言を行うこと。
  二 発達障がい者に対し、施文的な発達支援及び就労の支援を行うこと。
  三 医療、保健、福祉、教育等に関する業務(次号において「医療等の業務」という。)を行う関係機関及び民間団体並びにこれに従事する者に対し発達障がいについての情報提供及び研修を行うこと。
  四 発達障がいに関して、医療等の業務を行う関係機関及び民間団体との連絡調整を行うこと。等を規定してる。

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